過去
福島青年管弦楽団(FYS)は、福島を拠点とする青年オーケストラで、2011年の東日本大震災をきっかけに設立されました。イギリスのチャリティ団体であるキーズオブチェンジと、コンサートピアニストであるパノス・カランが、2012年3月、福島で学ぶ中学生と福島市音楽堂にて合同演奏会を行うため、交流先の中学生らとFYSのベースを作り上げました。以来FYSは、未来がはっきり見えず不安で、精神的にも難しい人生の局面において、「音楽が重要な癒しとなりうる」ことを世界に発信しています。
FYS事業の目的は、音楽を通じた生徒らの自己表現の場を作り出すこと、また彼らの音楽的・人間的成長を促すことです。そのため、学校の部活動で楽器を学ぶ生徒らが、他校の生徒らと力を合わせて切磋琢磨し、演奏技術を向上します。同時に、 年少で経験の浅い団員らを教え励まし、周囲の生徒らと共に楽器スキルを伸ばすことに責任を負います。
現在
福島の生徒ら、先生方、保護者の方からの証言が表す通り、FYS事業は多くの子どもたちにとって人生のターニングポイントとなる経験となっています。音楽を演奏し、個々の音楽スキルを伸ばすことは、2011年震災から心の傷を抱える多くの子どもたちの癒しをゆっくりと、しかし確実に支えているようです。
共にオーケストラを創り上げ、リハーサルを重ねて公演で成果を発表する過程は、福島の生徒らをより深く結び付け、それぞれが自由に自己を表現する方法を発見し、心の中に潜む恐怖に打ち勝ち、音楽的・精神的な成長を遂げることに大きく寄与しています。また楽団のポジティブな効果は、 保護者、先生方、音楽家らの友人関係など、楽団の若き音楽家らを囲む人たちにも伝わっています。楽団の活動は、福島の家族、学校、コミュニティを強く結びつけてきました。そして、楽団の演奏を耳にした聴衆の誰もが、音を通じて生徒らの一体感や協働の心を感じ、2011年の震災体験を乗り越えようとする強い「生」の力を目撃します。
未来
FYSとキーズオブチェンジの長期的ゴールは、これから何年にもわたり、震災を体験した若き音楽家らに国内外での演奏機会を提供し続けることです。人のために演奏する公演活動が、やがて子どもたちの心に残る2011年3月の震災の記憶を癒すことを願って止みません。団員の中にはプロの音楽家として活躍する人もいるかもしれませんし、また多くの団員は音楽以外の職業に就くことでしょう。子どもたちが今後どのような道に進んでも、仲間と音楽を共に創り上げる成長期の経験は、生徒らの今後の人生を明るくし、より深い人間性を持った個人へと成長させることでしょう。
今後FYSは、福島のさらに多くの市町村にある、さらに多くの学校を巻き込み、より多くの若い人たちに音楽の演奏経験を積んでいただきたく思っています。国内外からの演奏家も充実させ、国際交流の側面も強化していきます。キーズオブチェンジは、FYSとステージを共にするソリストを世界中から招聘する予定です。常に向上の余地があり、学びの余地がある音楽。世界でも素晴らしい楽団は、まるで生き物のように変化を遂げていきます。FYSの今後にご期待ください。そしてこれからも、私たちの演奏活動を応援してください!
芸術監督パノス・カランからのメッセージ
福島青年管弦楽団、キーズオブチェンジ、ご支援くださる方々全てが、「音楽は世界をより良い場所に変える!」という信念に共感しています。FYSはこれからも、福島、日本国内、そして世界中に、その変革を起こし続けていきます。